一般記事

県文化財課 7年度に基本計画策定 史跡高取城跡の保存活用で

2025.6.13 県文化・教育・くらし創造部

 奈良県地域創造部文化財課は、史跡高取城跡の保存活用を図るための基本計画を令和7年度に策定する。一般競争入札「令和7年度史跡高取城跡整備基本計画策定支援業務7文財第5号」を6月25日に開札して業務を委託する。業務場所は高取町(史跡高取城跡)他。業務は史跡高取城跡整備基本計画の策定支援。委託期間8年3月19日。担当は記念物・埋蔵文化財係(電話0742―27―9866)。
 業務対象地である史跡高取城跡は高取町南部に位置し、近世初頭に構築された石垣が現在も残る高取町の中でも重要な史跡のひとつ。貴重な城郭資料であるとして昭和28年に国史跡に指定されており、平成18年には公益財団法人日本城郭協会の「日本100名城」に選ばれている。
高取城は、元弘2年に南朝方の豪族であった越智邦澄が貝吹山城の支城として築いた山城で、天正8年に織田信長の命により一旦廃城となった後、信長の死後に筒井順慶により復興されたが、明治6年に廃城となった。現在では建物は残っていないが、約10㍍ある高石垣などの遺構は人為的に破壊されることなくほぼ完全な状態をとどめている。
しかし近年、来訪者が増加する一方で経年劣化等により石垣の崩壊や孕みが各所で生じており、「史跡高取城跡保存整備検討委員会」における議論の中で、管理団体としての石垣の修復は喫緊の課題であるとの指摘を受けている。また、案内サインが乱立していることから動線が定まっていない。さらに登城路についても傷みが激しく、来訪者の安全が危ぶまれている状態。一般競争入札により「史跡高取城跡壺坂口登城路現況測量及び整備設計業務の委託契約4文財第4号」を空間文化開発機構(大阪市中央区大手前1丁目4番12号大阪天満橋ビル7階)で4年度に行っている。
これらの課題を解決するため県では3年3月にアコード(福留純子代表取締役社長)奈良営業所(天理市前裁町309―3)に委託して「史跡高取城跡保存活用計画」策定している。引き続き検討委員会における議論等を反映させた「史跡高取城跡整備基本計画」を策定するもの。業務内容は次の通り。
【基本計画の策定支援】
これまで行われてきた史跡高取城跡に関する調査の成果や資料等を基本として、史跡整備に関する計画を策定するために①オリエンテーション(仕様、進め方、納品物、提出書類等の確認)②打合せ協議(方針、内容の決定)③原稿作成(整備基本計画〈案〉原稿の作成)④検討委員会議事前協議(検討委員会議の進め方、作成資料の確認)⑤検討委員会議資料の作成及び議事録の作成⑥検討委員会議出席⑦提出書類等作成―の業務を行う。
計画(案)原稿の作成に当たっては国が示す「史跡等整備基本計画―標準となる構成、作成の留意点―」(『史跡等・重要文化的景観マネジメント支援業務報告書』平成27年3月)に従うとともに、これまで実施されてきた発掘調査の成果や資料の整理を行い、以下の内容についての検討を行い、まとめる。
▽計画策定の経緯・目的の整理=計画策定の経緯・計画の目的・委員会の設置・関連計画との関係。
▽計画地の現況の整理=自然的環境・歴史的環境・社会的環境。
▽史跡の概要及び現状と課題の整理=史跡指定の状況・史跡の概要・史跡の公開活用のための諸条件の把握・広域関連整備計画。
▽基本方針の検討=基本理念と基本方針。
▽整備基本計画の検討=全体計画及び地区区分計画・遺構保存に関する計画・石垣及び園路の修復に関する計画・動線計画・地形造成に関する計画・遺構の表現に関する計画・修景及び植栽に関する計画・案内と解説施設に関する計画・管理施設及び便益施設に関する計画・公開と活用及びそのための施設に関する計画・周辺地域の環境保全に関する計画・地域全体における関連文化財等との有機的な整備活用に関する計画・整備事業に必要となる調査等に関する計画・公開と活用に関する計画・管理と運営に関する計画・事業計画。
▽完成予想図の作成。
【委員会(3回)資料の作成】
検討委員会の開催に必要な協議資料の作成補助を行う。検討委員会の開催に当たり会議の記録を作成する。

会員登録
一覧に戻る