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再整備推進室 中央卸売市場再整備実施プラン案 7月にもPFI公告へ 市場エリアを先行して事業者公募 13年度開業、事業費は350億円

2025.2.14 県食と農の振興部

 奈良県⾷農部中央卸売市場再整備推進室は10日、奈良県中央卸売市場運営協議会(会長・浦出俊和摂南大学教授)を開催、「奈良県中央卸売市場再整備の基本方針実施プラン(案)」について審議し、県が示した案を了承した。
一体的に整備する市場エリアと賑わいエリアのうち市場エリアを先行して7月にもPFIによる一般競争入札を公告、今年度内に事業者を選定して8年7月に事業契約を締結するスケジュールで、市場エリアは13年度、民間事業者が整備運営する賑わいエリアは17年度の開業をめざす。市場エリアの概算事業費は約350億円を見込んでいる。
 中央卸売市場の再整備では、市場本来の卸売機能となる市場エリアの(10・8㌶)を西側、県民や観光客など一般消費者を対象とした賑わいづくりを目的とした賑わいエリア(約4・7㌶)を東側に配置する。北側の買収予定地(約3・8㌶)は駐車場用地(工事期間中は工事ヤード等に利用)。コンストラクションマネジメントは山下PMCが担当。
 市場エリアは県が整備を行い、土地・建物その他の施設を県が保有して市場事業者等に使用を認める方式とする。賑わいエリアは民間事業者による独立採算での整備を基本とし、整備する施設や手法に応じて施設保有形態や運営手法を決定することにしている。市場エリア整備の概要は次の通り。
▽食の安全・安心の確保=取扱商品に応じて適切な温度管理が行えるコールドチェーンに対応した閉鎖型施設を整備する。市場事業者が取り扱うすべての食品等について自ら作成する衛生管理計画に基づきHACCPの考え方による衛生管理を実施する。雨に濡れない荷卸しと積込みが行えるよう荷卸所・積込所に大屋根等を整備する。合わせて大屋根積込所の上部を駐車場として利用することにより市場事業者の利便性向上を図る。
▽市場内における物流の効率化=・市場棟内において卸売場、仲卸売場、買荷保管所、積込所、加工場等の主要取扱物品の物流に関わる一連の施設を効率的に配置することにより物流動線を整理し、食の流通拠点としての機能を最大限に発揮できる施設を整備する。荷物の搬入業者が市場内の荷卸しの対応状況を確認できる仕組みを導入するなど、搬出入業務の効率化をめざしたDX化に対応できる整備を推進する。
▽市場施設のコンパクト化=市場事業者との協議を踏まえて将来の取引量に応じた施設規模とすることや物流動線の整理 等により建物と駐車場等を適切な規模とし、市場施設のコンパクト化を図る。
▽業務の共同化=市場事業者が現在個別に対応している加工業務の一部を複数の市場事業者が共同で行うことができる共同加工場を整備することにより業務の省力化と効率化を図る。
▽環境への配慮=トラック・普通自動車用のEV充電設備を整備するなど省エネルギーを徹底する。廃棄物の発生抑制とリサイクルの推進等に努める。太陽光発電など再生可能エネルギーの活用を検討する。
市場エリアで整備する施設規模5万2240平方㍍▽卸売場1万194平方㍍(青果7595平方㍍、水産2599平方㍍)▽仲卸売場2万2456平方㍍(青果1万5051平方㍍、水産7405平方㍍)▽管理関連棟5969平方㍍(関連商品売場等3009平方㍍、管理事務所等2960平方㍍)▽廃棄物集積所他1743平方㍍▽冷蔵庫3600平方㍍。うち冷蔵庫施設は市場事業者等が整備する。
整備の進め方は▽市場運営を継続しながら現敷地で工事を実施=①現市場を運営しながら新市場棟等を建設するため市場事業者等に配慮した工事計画(ローリング計画)が必要②工事計画については民間事業者の提案による最適な方法を選択▽効率的な施設配置=①商品の入荷から出荷までの物流動線の効率化を図るため卸売場、仲卸売場、買荷保管所、積込所、加工場等の施設機能を市場棟に集約②管理棟と関連商品売場棟等を集約し、賑わいエリアとの連携も見据えた配置とする。
整備手法については、多くの制約条件がある敷地での整備であるため民間事業者の技術等を活用できるPFI手法を採用する。事業方式は卸売市場運営の特殊性等を踏まえて運営業務を含まないBT方式(PFI事業者が施設を建設し、建設後に施設の所有権を県に移転する)とする。PFI(BT方式)を採用することにより、従来手法と比較して設計・施工一括発注による工期短縮と民間ノウハウによる最適な工法の採用及び建設コストの削減が見込まれる。市場エリア整備に係る概算事業費約350億円。  市場エリア整備の事業者選定スケジュールは3月に実施方針・要求水準書(案)の公表、7月公告、12月入札、8年3月には落札者を決定し、6月議会で承認を得て7月に事業契約を締結する予定。
 賑わいエリアの整備・運営は民間活力を可能な限り活用することとし、市場エリアとの親和性のある一体的な整備を行う。具体的にはフードホール・マルシェ・物流施設の整備を原則とするが、その他に食品加工施設や県産品PR施設など市場の賑わいや機能強化に資する施設整備も検討する。
 市場エリア整備の公募時に賑わいエリア整備のアイデアも募集する。市場エリア整備事業者の選定に当たっては賑わいエリアに係る提案も含めて評価する。賑わいエリアの提案については実現性と実効性の高い提案を評価する。12年度に事業者を公募し、13年度に契約して設計と建設工事に4年程度をかけて17年度の完成をめざす。
中央卸売市場再整備の基本方針は、食の流通拠点としての機能を備え、奈良県民の食の安全・安心を確保する「市場エリア」と、市場の機能や立地を活かし、地域の賑わいを創出する「賑わいエリア」について、親和性のある一体的な整備を行う。
市場機能の高機能化・効率化等(市場エリア)では、市場機能の高機能化と効率化を行うことにより食の流通拠点機能を充実させ、持続可能な市場をめざす。
「食」を通じた地域の賑わい拠点創出(賑わいエリア)では、「市場エリア」との連携による「食」と親和性の高い一般消費者向けの賑わいを創出する。食品加工機能や物流機能を有する施設など市場機能の強化と活性化に資する施設についても市場の魅力向上に繋がり、賑わい創出にも寄与することから整備を可能とする。(吹上)

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