一般記事

県公園企画課 試験施工への設計 飛鳥京跡苑池南池の護岸復元 GRCと躯体を一体化

2025.1.21 県地域デザイン推進局

 奈良県県土マネジメント部まちづくり推進局公園企画課は、史跡及び名勝飛鳥京跡苑池南池について、ガラス繊維補強セメント(GRC)と躯体を一体化して護岸を復元するとともに、その実施設計に向けた試験施工を実施するための設計を令和7年に行う。
 県建設産業課で一般競争入札「史跡及び名勝飛鳥京跡苑池南池試験施工設計業務委託(飛鳥宮跡活用検討事業(補助公共))第771―委―1号」を2月5日に開札して業務を委託する。業務場所は明日香村岡他。委託期間11月28日。
 史跡及び名勝飛鳥京跡苑池は、庭園が我が国で作庭され始めた時期に飛鳥宮跡に隣接して整備された苑池。草創期の日本庭園の形態が理解できる我が国固有の歴史的資産であることから、平成15年8月に文化財として国より史跡及び名勝指定された。
苑池の整備検討に当たっては史跡及び名勝飛鳥京跡苑池保存整備・活用検討委員会を開催し、有識者に意見を聴いて検討を進めてきた。この検討過程において、苑池南池ではGRCと躯体を一体化し護岸を復元するとともに、その実施設計に向けた試験施工を実施することとした。なお、試験施工は「復原護岸による遺構への影響の有無」及び「復原護岸の施工方法」について検証するもの。
これを踏まえてこの業務は苑池南池の試験施工設計業務として①護岸構造の検討②試験施工設計③施工計画等の作成、それらの結果を踏まえ④試験施工の実施に必要となる図書の作成を目的とする。担当は歴史公園係(電話0742―27―8945)。業務内容は次の通り。
【既往資料の確認及び把握】
苑池南池整備に関する上位計画、発掘調査報告書、過年度成果、その他関連事業計画書等の既往資料を確認し、南池整備の考え方、手順、留意事項等を把握すること。
【護岸構造の検討】
過年度成果(スペースビジョン研究所奈良事務所に委託して2年度に実施した史跡及び名勝飛鳥京跡苑池基本設計修正(北池他)業務第181―委―1号)において、GRC躯体を用いて苑池南池の護岸を復原することとしている。GRC躯体を用いて復元する護岸について護岸背面の構造を複数案検討し、安定照査(安定解析による照査)を実施する。
▽構造案(3案)の検討=GRC躯体の護岸背面の構造案を複数案(3案)検討し、安定照査の結果を踏まえ比較検討を行う。
▽安定照査=護岸構造の検討を行うために、過去に実施された地盤調査の結果をもとに安定照査(安定解析による照査)を実施する。
▽遺構への影響の検討=安定照査に基づく比較検討の結果得られた構造案(1案)について遺構への影響軽減に万全を期す目的で①断面の異なる2ヵ所における斜面全体の安定検討(円弧すべり)②2ヵ所における地盤変形検討(FEM)の地盤技術解析を実施する。
【試験施工設計】
▽試験施工の設計=護岸構造の検討及び遺構への影響の検討で決定した構造をもとに、試験施工を行うための実施設計を行い、実施設計図及び数量計算書を作成するとともに、試験施工実施箇所の選定条件を整理する。また、概算工事費及び必要工期を算出する。
▽観測・計測計画の作成=試験施工後の沈下、傾斜、変形、転倒等の観測・計測計画を作成する。また、概算業務費及び必要工期を算出する。
【施工計画等の作成】
試験施工設計の結果を踏まえて施工による遺構への影響が生じないことを前提に、仮設計画を含む施工計画等を作成する。
【発注図書の作成】
「試験施工」及び「観測・計測業務」の発注図書を作成する。また、発注に当たり必要な実績と資格要件等の検討を行う。
【検討委員会の運営支援】
業務の検討に当たり県主催で検討委員会を開催する予定で、開催回数は2回程度を想定し、その運営支援として会議資料及び議事録の作成を行う。
【関係機関との協議支援】
関係機関は文化庁、明日香村、検討委員会委員(1名)の3機関を想定し、関係機関との協議に必要な資料を作成する。協議回数は3回を想定している。
【報告書作成】
報告書の作成に当たっては現地の状況を示す写真を整理し、業務項目ごとに検討過程を含めてとりまとめる。また、検討・解析に使用した理論や公式の引用及び文献等並びにその計算過程を明記する。

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