一般記事

労災防止、一側足場の使用範囲で省令改正

2023.2.22 省庁

第14次労働災害防止計画を作成 墜落・転落の防止対策を強化

厚生労働省は、建設業の死亡災害で最も多い墜落・転落の防止対策を強化するため、今後5年の期間を対象とした「第14次労働災害防止計画」を作成する。特に、一側足場の使用範囲にメスを入れ、本足場の採用を原則とするよう省令を改正する。
建設現場における死亡事故の最も大きな要因は、毎年変わらず『墜落・転落』(墜落・転落38%、崩壊・倒壊11%、挟まれ・巻き込まれ9%など)だ。全体の4割に上る。昨年12月に公表した第14次の計画案では、業種別の労働災害防止対策において、推進すべき対策の一つに建設業の墜落・転落災害防止を選出。リスクアセスメントに取り組む建設業の事業場の割合を、5年後までに85%以上とすることをアウトプット指標に掲げている。
厚労省が昨年10月にまとめた「建設業における墜落・転落防止対策の充実強化に関する実務者会合」(座長:蟹澤宏剛・芝浦工業大学建築学部建築学科教授)の報告書でも、墜落・転落の防止で実効性のある対策の必要性を指摘。今後の労働安全衛生規則の見直しなどにつながる施策を盛り込んだ。
例えば、狭小地で使われやすい一側足場の使用範囲の明確化だ。安衛則第563条の足場用墜落防止設備の規定が一側足場に適用されないため、手すりや中さんなどがない一側足場での死亡災害が多発している。そこで、十分なスペースがある場合は本足場の設置を原則とする。今後、省令を改正する。
同じく省令改正が必要な対策として、「足場点検の確実な実施」を進める。作業開始前や組み立てなど後点検で、点検実施者の指名を法令上明確にすべきだとした。加えて、その名前を記録、保存する必要性についても触れている。
さらに将来の課題として、デジタル技術の活用を挙げた。VR(仮想現実)を使った安全衛生教育や、現場を撮影した画像のAI(人工知能)解析による足場の安全点検の支援などが期待されている。
(橋本)

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