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県道路建設課 用地取得の制度改革へ 第11回県道路整備委員会
2024.5.30 県土マネジメント部
奈良県県土マネジメント部道路建設課道路政策係は5月20日、奈良県道路整備基本計画を改定するため「第11回奈良県道路整備委員会」を開催し、スケジュールや素案内容について議論した。委員長は山田忠史京都大学大学院教授。
同計画は今後5ヵ年の道路の方向性について示しており、県がどのような道路を、何のために整備するのか、どのように整備するのかなどを記載している。平成26年7月に策定され、令和元年10月に一度、改定があった。近年の社会情勢や国の動向等を踏まえ、新たに改定が予定されている。
県は、骨格幹線道路ネットワークの事業箇所を追加した。内容は次の通り
▽一般国道169号(仮称)下北山道路(下北山村前鬼~上池原)。国による整備路線の追加は次の通り
▽一般国道168号十津川道路(Ⅱ期)(十津川七色~平谷)。
令和2年度の道路統計年報のデータによると、奈良県は一般道路(国道、県道)の道路整備率が全国最下位。高規格幹線道路の開通延長は全国45位と、遅れが目立っている。特に用地取得に時間を要しており、骨格幹線道路では事業化から5年が経過しても用地取得率が80%に満たない路線が8つ(9工区)存在する。該当する路線は次の通り①枚方大和郡山線(中町工区)②国道168号(小平尾BP)(2工区拡幅)③国道168号(香芝王寺道路)(西名阪より北)④天理王寺線(長楽工区)⑤国道169号(御所高取BP)(御所区間、高取区間)⑥桜井吉野線(百市工区)⑦国道308号(宝来ランプ)⑧大阪生駒線(辻町IC)。
用地取得に関する制度を改善することが検討されており、工区ごとに進捗状況を分かりやすくするため表が作成される予定。縦軸に用地取得率を数段階に分けたものを、横軸に事業着手年度を配置する。その他、事業の認定申請にルールを設ける案が提示された。その内容とは、全ての地権者に現地または図上で、用地幅の説明を終えて3年が経過しているか、用地取得率が80%であれば、事業認定申請の準備に着手し、準備着手の1年後を目処に申請を行うというもの。
これまでも新規事業化に至るまでは、まず必要な事業かどうか調査をした後、優先度を判定する手順が踏まれていた。事業の優先度を判定するために、用地買収の難易度4項目が参考にされていたが、県は今回の改定で1項目を追加。道路の権限を移す手続きの進捗状況が加味される。その他、用地取得の見込みや、市町村による地籍調査が用地取得の難易度に反映される。
また、埋蔵文化財発掘調査がインフラ整備の遅れの原因となっていることから、埋蔵文化財部局と連携し、調査の効率化を図る。中長期にわたる事業は見通しを示し、企業が参入しやすい体制を作る。これにより、活断層を調べるトレンチ調査の期間を半減するとともに、発掘調査の面積を3倍にする効果を狙う。
県南部では国道168号と169号が南北に延びる主要な道路となっている。しかし下北山村で発生した崩土により広域迂回が余儀なくされ、下北山村役場から上北山村役場までは、平時であれば車で50分程度のところ約4時間50分かかる。県は、東西軸の主要地方道天川線と国道309号の利用で40分の短縮を見込んでいる。引き続き1・5車線的道路整備を推進する。国道169号奥瀞熊野道路については、県南部地域の主要な東西軸として位置づける方針を示した。
県は今後、市町村等に意見を照会し、1ヵ月間のパブリックコメントを7月頃に実施する見通し。第12回では計画の原案について議論する。同基本計画の作成には中央復建コンサルタンツが補助に入った。
(岡本)