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田原本駅南再開発 村本建設の施工で 市街地再開発ビル建設 落札額約25億円 10階建で住宅80戸と商業施設等
2021.10.28 民間
田原本駅南地区市街地再開発組合は、田原本駅南地区第一種市街地再開発事業の施工を村本建設に落札額約25億円で決めた。令和4年夏に建築工事に着工して5年度末の竣工をめざす。住宅80戸を主体に低層階に商業と公共公益施設を配す10階建の再開発ビルの建設が中心となる事業で、総事業費33億4000万円を見込んでいる。
再開発組合はこのほど、田原本駅南地区第一種市街地再開発ビル建設について指名競争入札を実施、村本建設が24億6350万5000円で落札、国の補助金を待って令和4年度早期に契約を締結する。3年度内に権利変換計画認可、4年度当初から既存建物の除却と整地工事を進め、4年夏には施設建築物(再開発ビル)工事に着工して5年度末の竣工を予定している。
県知事の認可を2年9月に受けて「田原本駅南地区市街地再開発組合」(田原本町160番地の2。寺井孝雄理事長)の設立総会を田原本町役場で10月17日に開催している。事業施行期間は令和6年3月31日まで。総事業費33億4000万円。権利者9名(組合設立認可時点)。コンサルタントは都市・計画・設計研究所(平井仁代表取締役)の大阪事務所(大阪市北区天満4丁目3―5)が担当。
施行地区は田原本駅の駅前広場の南西部に隣接する幸町の約0・5㌶。建築物は敷地面積約3910平方㍍にRC造10階建延べ面積約9870平方㍍(建築面積約2220平方㍍)の再開発ビルを建設する。住宅約80戸の他、店舗・事務所・公共公益施設、駐車場等を収容する。道路境界から1㍍の壁面後退を設けて景観に配慮したゆとりある環境を形成する。
公共施設は▽幹線道路として都市計画道路西田原本駅前線、田原本駅前広場=L約90㍍W17㍍(区域内8・5㍍)▽区画道路として町道田原本8号線=L約40㍍W4㍍(区域内2㍍)を整備する。
さらに、市街地再開発事業に合わせて、田原本駅南地区約0・5㌶の高度利用地区も適用する。建築物の容積率の最高限度400%・最低限度150%、建築物の建ぺい率の最高限度80%、建築物の建築面積最低限度200平方㍍とし、壁面の位置の制限を設けている。
田原本町は、奈良県都市計画区域マスタープランにおいて、主要生活拠点と位置付けられており「主要駅周辺においては、居住機能に加え、商業サービス機能を充実させ、周辺との機能分担、交流、連携等に配慮し、拠点性の向上を図る」こととされている。
また、田原本町都市計画マスタープランにおいては、都市整備のテーマとして中心部・中心市街地の都市再生を進めることとされており、中心市街地整備の方針として駅周辺地区は「駅前広場整備と市街地再開発により、新しい高度な都市サービス機能を形成する」としている。
田原本駅周辺においてはこれらの上位計画の方向性を踏まえ、地域の理解と協力により平成22年3月に駅前広場が完成・供用開始された。しかし、今回の再開発地区は駅前広場に面するエリアで中心市街地として駅の利便性を享受できる立地ながら、細分化した敷地に低層の老朽木造建築物を中心とした低密度な土地利用となっている。市街地の更新が遅れて良好な住宅供給が少ない状況。
地区内関係者等による長年の議論を経て、生活拠点・中心市街地の賑わい拠点としての田原本駅前をめざし、市街地再開発事業と高度利用地区を都市計画決定する。住宅の確保を行うことで郊外へ拡散していく住民にまちなかへの居住を促し、現在の人口密度の低下を抑制してコミュニティを維持する。また、公共公益施設を整備することにより賑わいと利便性の高い駅前を創出し、中心市街地としてのまちづくりを行っていく。 (吹上)