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7月に入札公告へ 中央卸売市場再整備市場エリア 13年度開業、事業費は350億円 8年2月に個別プレゼン審査実施

2025.4.1 県食と農の振興部

 奈良県食農部は、県中央卸売市場再整備のうち先行して整備する市場エリアについて、PFI法(BT方式)の選定を学識経験者等から構成される「奈良県中央卸売市場運営協議会市場再整備事業審査部会」(部会長・橋爪紳也大阪公立大学研究推進機構特別教授)において入札参加者からの提案を審査する。
 6月に特定事業に選定して公表、7月に入札公告及び入札説明書等を公表、入札参加表明書及び入札参加資格審査を8月まで、入札提案書及びVE提案書を11月まで受け付け、8年2月に提案書に関する個別プレゼンテーションを行い、3月に落札者を決定して基本協定を締結、7月に事業契約に係る議会の議決(本契約の締結)、7月から設計施工に着手して13年度に新市場開業、15年度に市場エリアは完成する。
入札参加者は設計業務・工事監理及び施工に当たる複数の企業により構成されるJVまたはSPCを設立して事業を実施することを予定している。問合せ先は中央卸売市場再整備推進室(電話0743―56―7004)。
県中央卸売市場は昭和52年の開場以来「県民の台所」として生鮮食料品の円滑な供給と消費生活の安定に重要な役割を担ってきたが、開設から47年以上が経過した現在では施設の老朽化が進んでいる。また、人口・世帯構成の変化に伴う 食料消費の減少や食の外部化・簡便化、インターネット販売等による食品流通の多様化など卸売市場を取り巻く状況は大きく変容している。 この市場においてもそれらへ対応することが重要な課題となっているため、県では令和3年12月に「奈良県中央卸売市場再整備の基本方針」、7年3月に「奈良県中央卸売市場再整備の基本方針実施プラン」を策定し、市場機能の高機能化・効率化を図り、食の流通拠点として食の安全・安心を確保する「市場エリア」と、市場の機能や立地を活かして地域の賑わいを創出する「賑わいエリア」 について、親和性のある一体的な整備を行うことで、持続可能で「産地や実需者、消費者から選ばれる」市場づくりをめざしている。
今回「賑わいエリア」に先行して整備を行うこの事業は民間の経営能力及び技術的能力を活用した効率的な施設の整備が期待できるPFI手法を導入し、 事業の効率化を図る。
全体事業は、奈良県中央卸売市場敷地と北側用地から構成される「本事業用地」で実施する、本事業及び別途 事業から構成する。本事業は統括管理業務及び施設整備の設計施工業務等で構成する。施工するのは新設工事として市場エリアの市場棟、管理関連棟及び廃棄物集積所等の建設工事と市場事業者施設水産物部冷蔵庫等整備等に伴う工事など、賑わいエリアの整地工事、解体業務(現市場敷地)。
参加グループはアドバイザリー業務等に関与した山下PMCと関連がある者でないこと。各業務に当たる者の入札参加資格要件は次の通り。
【設計業務】単体または複数の者で実施。
▽建築分野=①建築士法の規定による一級建築士事務所の登録を行っていること②建設工事等に係る競争入札の参加資格等に関する規程による競争入札参加資格のうち建築設計業務に登録していること③平成22年4月1日~入札参加表明書等の受付締切日において完成・引渡しが完了した床面積1万平方㍍以上の卸売市場、倉庫業を営む倉庫(多層式で食品用冷蔵施設を含むもの)または食品加工工場の新築・増築若しくは改築の設計業務の元請実績を有すること―など。
▽土木分野=①県建設工事等競争入札参加資格のうち建設コンサルタント(河川、砂防及び海岸、海洋部門)及び(道路部門)に登録していること②平成22年4月1日~入札参加表明書等の受付締切日において完成・引渡しが完了した道路設計業務の元請実績を有すること。
【工事監理業務】単体または複数の者で実施。
▽建築分野=①建築士法の規定による一級建築士事務所の登録を行っていること②県建設工事等競争入札参加資格のうち建築設計業務に登録していること③平成22年4月1日~入札参加表明書等の受付締切日において完成・引渡しが完了した床面積1万平方㍍以上の卸売市場、倉庫業を営む倉庫(多層式で食品用冷蔵施設を含むもの)または食品加工工場の新築・増築若しくは改築の工事監理業務の元請実績を有すること―など。
▽土木分野=県建設工事等競争入札参加資格のうち建設コンサルタント(河川、砂防及び海岸、海洋部門)及び(道路部門)に登録していること。
【施工業務】2者~4者で実施。
▽建築分野=①建設業法の規定による建築工事業に係る特定建設業の許可を有すること②経営事項審査結果における建築1式工事の総合評定値が1200 点以上であること③県建設工事等競争入札参加資格のうち建設工事(建築1式)に係る入札参加資格申請における参加資格を有すること④平成22年4月1日~入札参加表明書等の受付締切日において完成・引渡しが完了した床面積1平方㍍以上の卸売市場、倉庫業を営む倉庫(多層式で食品用冷蔵施設を含むもの)または食品加工工場の新築・増築若しくは改築の施工業務の元請実績を有すること(以上を満たす場合は建築1式工事の総合評定値が900点以上の者を参加させることができる)。
▽土木分野=①建設業法の規定による土木工事業に係る特定建設業の許可を有すること②経営事項審査結果における土木1式工事の総合評定値が1200 点以上であること③県建設工事等競争入札参加資格のうち建設工事(土木1式)に係る入札参加資格申請における参加資格を有すること(以上を満たす場合は土木1式工事の総合評定値が900点以上の者を参加させることができる)
市場エリアの概算事業費は約350億円を見込んでいる。7年3月に策定した「奈良県中央卸売市場再整備の基本方針実施プラン」の主な内容は、中央卸売市場の再整備では、市場本来の卸売機能となる市場エリアの(10・8㌶)を西側、県民や観光客など一般消費者を対象とした賑わいづくりを目的とした賑わいエリア(約4・7㌶)を東側に配置する。北側の買収予定地(約3・8㌶)は駐車場用地(工事期間中は工事ヤード等に利用)。
 市場エリアは県が整備を行い、土地・建物その他の施設を県が保有して市場事業者等に使用を認める方式とする。賑わいエリアは民間事業者による独立採算での整備を基本とし、整備する施設や手法に応じて施設保有形態や運営手法を決定することにしている。
市場エリア整備の概要は次の通り▽食の安全・安心の確保=取扱商品に応じて適切な温度管理が行えるコールドチェーンに対応した閉鎖型施設で、雨に濡れない荷卸しと積込みが行えるよう荷卸所・積込所に大屋根等を整備する。合わせて大屋根積込所の上部を駐車場として利用する▽市場内における物流の効率化=DX化に対応できる整備を推進する▽市場施設のコンパクト化=将来の取引量に応じた施設規模とする▽業務の共同化=共同加工場を整備する▽環境への配慮。
市場エリアで整備する施設規模5万2240平方㍍▽卸売場1万194平方㍍(青果7595平方㍍、水産2599平方㍍)▽仲卸売場2万2456平方㍍(青果1万5051平方㍍、水産7405平方㍍)▽管理関連棟5969平方㍍(関連商品売場等3009平方㍍、管理事務所等2960平方㍍)▽廃棄物集積所他1743平方㍍▽冷蔵庫3600平方㍍。うち冷蔵庫施設は市場事業者等が整備する。
整備の進め方は▽市場運営を継続しながら現敷地で工事を実施=①現市場を運営しながら新市場棟等を建設するため市場事業者等に配慮した工事計画(ローリング計画)が必要②工事計画については民間事業者の提案による最適な方法を選択▽効率的な施設配置=①商品の入荷から出荷までの物流動線の効率化を図るため卸売場、仲卸売場、買荷保管所、積込所、加工場等の施設機能を市場棟に集約②管理棟と関連商品売場棟等を集約し、賑わいエリアとの連携も見据えた配置とする。
 また、賑わいエリアの整備・運営は民間活力を可能な限り活用することとし、市場エリアとの親和性のある一体的な整備を行う。具体的にはフードホール・マルシェ・物流施設の整備を原則とするが、その他に食品加工施設や県産品PR施設など市場の賑わいや機能強化に資する施設整備も検討する。
 市場エリア整備の公募時に賑わいエリア整備のアイデアも募集し、賑わいエリアに係る提案の実現性と実効性も含めて評価する。12年度に事業者を公募し、13年度に契約して設計と建設工事に4年程度をかけて17年度の完成をめざす。
中央卸売市場再整備の基本方針における市場機能の高機能化・効率化等(市場エリア)では、市場機能の高機能化と効率化を行うことにより食の流通拠点機能を充実させ、持続可能な市場をめざす。「食」を通じた地域の賑わい拠点創出(賑わいエリア)では、「市場エリア」との連携による「食」と親和性の高い一般消費者向けの賑わいを創出する。食品加工機能や物流機能を有する施設など市場機能の強化と活性化に資する施設についても市場の魅力向上に繋がり、賑わい創出にも寄与することから整備を可能とする。(吹上)

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